魔王様!まさかアイツは吸血鬼?【恋人は魔王様‐X'mas Ver.‐】
「いいっ。
分かった、外に出よう、ね?」

「ユリアって大胆。
それに、この時期外で服脱いだら寒くなぁい?たとえパンティだけだとしてもさ」

どこから拾ってきた言い回しか。
『寒くなぁい?』と、まるでギャルのように語尾を上げて笑ってみせる。

「服は脱ぎません。もちろん、下着も一切脱ぎませんっ!
Do you understand?」

「Yes,ma'am」

ウインクしながら、言葉だけは堅苦しく返してくれる。
別に、いいんですけど。

そうして、リビングに戻った私を後ろからぎゅっと抱きしめた。

「良かった、ユリアが元気になってくれて」

耳元に落とされるのは、優しさを溶かした甘い声。

でも、私は首を捻らずにはいられない。


えーっと?
この頭が痛くなりそうな戯言の交換が、私が元気になった証拠だって本気でおっしゃってます?

違いますよ?
私の元気の定義、根本的に間違ってらっしゃいますよ?
あなた、サラリーマンだったら絶対セクハラで訴えられていますから。
分かってますか? 魔王様!




< 109 / 390 >

この作品をシェア

pagetop