魔王様!まさかアイツは吸血鬼?【恋人は魔王様‐X'mas Ver.‐】
そんなヤツって、どんなヤツよ?

私は次の言葉を待つ。



「キャットフードを齧る吸血鬼なんて、ただの一度も見たことないね」



ま……待たなきゃ良かった。
言ってる意味が全然分からない。

何?
そういえば昨日綾香が吸血鬼に会ったって、学校で皆で盛り上がってたっけ。

今、吸血鬼がブームなの?

いや、ブームだとしても、だからなんだ。
私は、吸血鬼を拾ってきたわけじゃない。

可愛い黒猫……

猫……?!

私の手に歯を立てて、血をなめていた……


私は慌てて手に目をやった。
傷跡なんて見当たらない。

なんとなく、嫌な予感は消えない。が、それを打ち消すかのようにあえて明るい声を出してみた。


「私、吸血鬼の話なんてしてないわよ?」

「じゃぁ、何の話を?」

愉快でたまらない顔で、キョウが言う。

「黒猫の話をしてるのよっ」

私は知らず、声を荒げていた。
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