魔王様!まさかアイツは吸血鬼?【恋人は魔王様‐X'mas Ver.‐】
「エイイチロウさん、居なくなっても大丈夫なの?」

「ああ」

と。

エイイチロウという言葉に反応したのか、綾香が私を見た。
視線が、かちりとぶつかる。

「うん、大丈夫。
また、ホストクラブにも行かなきゃだね」

「行かないほうがいいよ、お金掛かるのに。
エイイチロウさんに伝えておくわ、たまには綾香の様子を見に行くようにって。ね?」

これ以上無駄なお金を綾香に使わせる気にはならない。

が。

それ以上に気になったのが、キランと音を立てた笑麗奈の視線だった。

……し、しまったわー。
  百合亜、大失態。

「ねぇ、百合亜。
エイイチロウさんって、何処のどなたなの?」

丁寧な口調は、しかし慇懃無礼な色を帯びている。

うーん。
船越英一郎、知ってるでしょ?
よく二時間ドラマに出てくるあの素敵な俳優さん☆

なぁんて言っても許してくれないだろうなー。

私は、こっそりと笑麗奈の綺麗な顔を覗き見て苦笑を浮かべた。
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