魔王様!まさかアイツは吸血鬼?【恋人は魔王様‐X'mas Ver.‐】
「なんでよ?」

私はきっと後ろを向く。
キョウは腹が立つほど優雅な笑みを零した。

「それじゃ、アイツが逃げ出すかもしれないじゃない?」

耳元で楽しそうに囁いてくる。

「逃げ出せばいいでしょう?」

私も囁いてみる。もっとも私の声が相当真剣なのは仕方が無い。

「ダメだよ、そんなの。
折角の俺のお楽しみが減ってしまうからね」

そそそそ、そんなに楽しみなの?

私はくらくらと眩暈がしてきた。
クリスマス当日まで後23日。だけど、そのうちキョウは気付くだろう。日本人が本当に盛り上がるのはクリスマスイブであることに。
そしたら残り22日。

私はこんな男と一緒に暮らす気なんて毛頭無いの。
人間外生物は、キョウだけでいっぱいいっぱいなの、正直なところ。

「ダメよ、だって。
危険じゃない?」

どうして?と、不思議そうにキョウは首を傾げる。
それから、ああ、ユリアは可愛いね、と甘い言葉を零す。

「大丈夫。吸血鬼は美女の血しか好まないんだ。幸い俺は男だし、ねぇ、ユリア?」

……………

そ、それはどういう意味ですか?
私に、喧嘩売ってます?

私はどう解釈したら良いのか判断しかねて、きっとキョウを睨む。
< 24 / 390 >

この作品をシェア

pagetop