魔王様!まさかアイツは吸血鬼?【恋人は魔王様‐X'mas Ver.‐】
悔しいよ、キョウ。
ねぇ、私だってまだ。

全然自分に自信なんて無いけど。

それでも。
信じようって思ったのに。

それとも、私が意味を取り違えたの……?

『ユリアが良いって言ったら、残りの人生俺にくれる?』

ラスベガスのホテルで耳にした、あれを。

『いい加減、待ちくたびれた』

風のように小さな、あの声を。

そういう風に解釈した私が間違っているっていうの……?

「困ったな。ユリアのことは泣かせないって、約束したのに」

キョウがもう一度、私に手を伸ばす。
さっき、叩き落したのに。

懲りた様子も無い様で。
涙の伝う頬に、細い指が触れる。

私は顔をあげた。
涙は止まらなくても。
言葉は、紡がなきゃ。

「じゃあ、もう。
ジャックの方に行けなんて、言わないで?」

……なんでよ。なんで、そんなこと、言うの?

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