甘い生活  Casa al mare
「いいよ。新婚さんみたいで楽しいし」

可笑しそうに清海さんは笑うけれど、私の心を見抜かれたみたいで、顔が火照りそう。

「そこの可愛いお嬢ちゃん、これ食べてみてよ!ハンサムなお兄さんも!」

スーパーの試食コーナーのおばさんに声をかけられ、言われるままにウィンナーを一口頂いたが、

「兄妹仲がよくていいわねぇ。うちの娘たちなんて、どうしてそんなに姉妹でそこまでいがみ合うのかと思うわよ、全く⋯⋯。もし、兄と妹なら、また違ったのかしら」

おばさんは、実にあっけらかんと、そんなことを言うではないか。

ついさっきまで、新婚さんみたいと言っていたのに、傍目には兄妹に見えるのか⋯⋯と、ちょっとだけ凹む。

「それひとつ下さい。因みに、僕らは新婚夫婦なんですよ」

清海さんが突然そんなことを言うので、ギョッとする。

「あらっ!それはごめんなさいね!お詫びにもっと食べていいから、ホラ」
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