悪女な私とは婚約破棄してください。なのに、冷徹社長の猛愛からは逃げられない
 それも嘘ではないのだろうけど、なんとなく彼女なりに気を使ってくれているのでは?という気もした。その読みは当たっていたようで、蘭は志桜に顔を近づけてコソコソとささやく。

「雄大にも邪魔しないようにって連絡しておきますから。ふたりきりで存分にイチャイチャしてくださいね」
「し、仕事だから! というか、園村さんといつの間にそんなに仲良くなったの?」

 いったいいつ、名前を呼び捨てする仲になったのだろうか。

「なんかノリが合うな~と思って。来月、一緒に野外フェスも行きますよ」
「……そういう関係になったのなら、教えてくれてもよかったのに」

 蘭とは同僚より親しい関係になれていると思ってたから、報告がなかったのが少し寂しい。拗ねた顔をする志桜に、蘭はぷぷっと噴き出す。

「あはは。全然そういう関係じゃないです。友達です、友達! それより!」

 蘭はにんまりと目を細めて、志桜を見る。

「神室さん、私と恋バナしたかったんですね~。言ってくれれば、いつでも付き合うのに~」
「そ、そういうわけじゃ……」
「照れなくていいですって! じゃあ早速、今夜の首尾の報告を楽しみに待ってますね」
「だ、だから今夜はあくまでも仕事であって」

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