愛する花の蜜を吸う~ヤンデレ吸血鬼の溺愛がキケンすぎる~
1章吸血鬼
第1話リアルの恋なんて興味無かったはずなのに…
私には大好きな人がいて、私の大好きな人にも大好きな人がいる。
それが私で、私じゃない…。
私の好きは恋愛の意味で、彼の好きは、補食対象の好きなのだ。
旧校舎の中庭でぐっすりと眠っていた私は、うっすら目を覚ますと、ゆっくりと近付いてくる綺麗な顔が見えてすぐに誰だか分かった。
薄見カヨイくんだ…。
校内では有名な話で、綺麗な赤い髪の毛と赤い瞳は、獲物を探すようにいつも細められ、見つめると誰でも虜にしてしまう。
そんな彼が有名人なのはその髪と目だけではなく、容姿全てにおいて、綺麗すぎたからだ。通った鼻筋や、長いまつげ、薄い唇に透明な肌…誰もが二度見…いや、三度見はするほどの女性顔負けの美人さんだった。
しかも、高身長で、華奢な体はよく見ると、引き締まっているとかなんとか…、女子は目を合わせずとも虜になってしまう。
ファンクラブまであるらしい。
と言っても、私にはその気持ちが全くもって理解できなかった。
だって、彼は人とあまり話さない、一匹狼のような人で、そんな人と恋愛をするなんて、大変なのではないだろうか?
それに、恋愛というのは、なぜそんなに盛り上がる話題なのだろう?
いや、これでは語弊があるか…。
リアルの恋愛に何を求めているのだろう?と思うのだ。
私は恋愛なんてしたことがない。だって、私は少女漫画や恋愛小説は大好きだけれど、そんな素敵な恋は、お話のなかだからこそと理解しているからだ。
そんななかで、他人のちっちゃい恋の話なんて興味が沸かず、ましてや、大人気な薄見くんとやらにも、興味がこれっぽっちもわかなかった。
なので、クラスで誰が好きとか誰が誰に告白するとか、興味がなかった。
だから……だから、自分がこんな恋をすることになるなんて、思ってもみなかった。
「う、うすみ…くんっ」
私の上に覆い被さるように目の前にいる薄見くん。
胸のところのリボンがほどかれて、襟ぐりが乱れてしまっている。
両手が薄見くんに掴まれてびくともしない。
反抗しようにも不可能だ。
薄見くんの目、いつもより鋭利に見える。
突き刺さるよう。
見られるだけでも、体がくすぐったくなる。
「違うでしょ?」
「んっ…」
開いた首もとをなぞるように薄見くんの手が露になった鎖骨のした辺りまでくる。
「俺のこと、なんて呼ぶんだっけ?」
「か、よい…くんっ」
目頭が熱くなって、カヨイくんの顔が涙でにじんで見えるけれど、なんだかご満悦な顔をしているように見える。
少しだけ、狂喜をはらんだような…―
「んぅっ」
「ん、やっぱり愛花のは甘くて上手いね。くらくらするほど」
カヨイくんの手元の鎖骨辺りにカヨイくんの唇があたって、ちゅうっと吸われる。
どれも私には初めての感覚過ぎてついていけないし、くすぐったがりなせいで、変な声が出てしまう。
2人きりの部室…―なぜこんなことになったかというと、発端は3日前に遡る。
「美味しい…」
私は一人で旧校舎の中庭にて、あんぱんを頬ぼっていた。
私は羽柴愛花。
友達のいない青春背景の生徒。
特技は影を薄くすること。
もとから気付かれにくいだけだけど…。
甘すぎるものは食べれないけど、甘いものは普通に好き。
だからあんぱんを買って美味しい、美味しいと1人舞い上がって食べていた。
すると、中庭の扉が開き、扉の奥から1人の男子生徒が姿を現した。
薄見カヨイくん…。
妙に気まずい…って、あれ?なんだか薄見くんの様子が変…?
「…甘い匂いがする」
「あ、多分このあんぱんだと思います…すいませ―」
嫌な匂いをさせてしまったかと思ったら、彼はあんぱんを気にせず、私につかみかかってきた。
「え…」
「きみ…だれ?」
だ、誰って…なんで自己紹介しなきゃいけないの?
とりあえず掴まれている腕をはなしてほしい。
随分強い力で掴まれているのか腕をひっぱっても中々振りほどけない。
「…あの、はなしてもらえませんか?」
赤い瞳孔が私をじっと見下ろす。
よく見ると、彼はどこか過呼吸で余裕がなさそうだ。
熱っぽい瞳がそこにある。
胸が動揺して変な鳴り方をしていて、なんだかくすぐったい。
一刻も速くこの場を離れたい…。
「俺の質問に答えてから」
…。
なんでそんなこと…。
と思ったが、別に名前を言うだけで、はなしてもらえるならそれでいいかとも思った。
「…2年の羽柴愛花です。あなたは有名なので知ってます」
少し嫌みだったかもしれない。
あなたは有名だから私は知っているけれど、あなたは知らない私に話しかけたのだと。
「そうか…ごめん」
やっとはなしてくれたかと思ったら両腕を掴まれて引き寄せられる。
「えっまっ!?」
そして襟ぐりを突然広げられる。
な、何して―
「んっ」
そこに、吸血鬼がよく血を吸うような首筋のあたりに彼の舌が這われたかと思うとぢゅうっと突然強く吸われる。
「んぅっんっ」
唇がゆっくりと離れて、薄見くんは驚いたような顔をしていた。
「きみの…羽柴のは甘ったるいのに、こんなに上手い…どういうこと…なんでこんなに甘い匂いなのに…」
こ、この人ずっとなに言ってるの?
今私は何をされたの?ていうか、どういうこと?頭がパニックだ。
薄見くんに吸われたところにはキスマークのようなものができていて、痕が残ってしまっている。
私はドンッと薄見くんをおして、頭の整理がつかないままその場を後にした。
翌日放課後の帰路、薄見くんとばったり鉢合わせた。
「あ、羽柴さんあの…」
「あぁ!えっと、薄見くんですよね!あの、昨日のことはもうお互い水に流しましょう!無かったことにしましょう!?」
あまりに必死だったかもしれないけれど、私にしたら少し乙女心を傷つけられたぐらいなのだ。
出きればもうこの人とは関わりたくない。
私は笑顔で薄見くんの横を通り抜けようとすると、片腕だけがしりと掴まれた。
けれど昨日ほど強くはない。
加減をされているのだろう。
「いや、流さないよ。昨日確かに俺は愛花の気を吸った。俺は消さない」
「き?」
気を吸うとはどういうことだろう?
彼はもしかして…
「俺は、吸血鬼の末裔だ」
…え?
突然のカミングアウト?
吸血鬼…なんて、今時居るわけが…それに、昨日は血なんて吸われていない。
私の疑問に気付いたのか、薄見くんが口を開いた。
「といっても普通の高校生とたいして変わらない。ただ、たまに血を吸うのではなく、人から口を通して気を吸いたくなる」
「き…って、なんですか?」
「人間のもとからある力のことだ。感情の起伏によって蓄えられる」
「は、はぁ…」
そういうものがあるのか…というか、それ以外は普通の高校生なんだ。
「昨日は本当に悪いことをしたと思う。突然…」
「あっ、いえ、ですから、その水に流しましょうと…!」
「だけど、一度吸ってしまうと、これからはもっと強烈に吸いたいという欲求が出てくる」
「え…それってつまり…」
ま、また吸われるってこと?
「悪いけど、俺はもう愛花のことはなせないから」
「っ…!!」
その瞳に見つめられて、心臓が高鳴るのがわかる。
けれど、本当にごめんと頭を下げられてしまった。
私は頭が追い付かない現実的ではないことを受け止めきれないまま、朝を迎え、放課後また薄見くんと出くわすことを不安に思い、久しぶりに旧校舎の図書準備室によってみることにした。
旧校舎はまず、人が来ることじたい少ないから、図書室でも良いけれど、こじんまりとした、準備室の方が私は好んでいる。
半分ルンルン状態で扉を開けた…のだけど…まさかのそこに居た。
「え…薄見くん?」
「あぁ、やっと来た。愛花」
昨日からさらっと下の名前で呼ばれている。
「な、なんで…」
「ここ、部室になったから。愛花俺のこと名前で呼んでくれない?他人行儀嫌なんだけど。敬語もやめて。同い年だし」
そんなことはすっ飛ばして…
「え!?ここが部室になったんですか?いつのまに…」
「ん?今日さっき。旧校舎図書準備室の本を新校舎に持っていく部」
えっと、つまり雑用をする部活になってて、部室になってたってこと。
薄見くんは呼んでいた本を閉じて、ソファから腰を上げる。
「ね、吸いたい」
っ…!!
耳元で囁かれて、じんじん熱い。
耳の裏とかなんかくすぐられて…。
「んっんぅっ」
あ、やだ…変な声…。
後ろで扉が閉じて鍵の閉まる音がしたけど、くすぐったがりな体がそれどころではないといってくる。
「愛花敏感だね。可愛い」
「ん…んっあっダメ…」
耳がペロっと舐められてびくびくと震えて力が入らなくなる。
カクンと耐えられず倒れそうになった私を抱き上げて、さっきまで薄見くんが座っていたソファに押し倒される。
「愛花、どんどん甘い匂い強くなってる。誘ってるの?」
「んっ、や、めて…くすぐったい…」
なのに、体は言うことを聞いてくれない。
早くここから逃げなきゃいけないのになにかを期待している自分がいる。
そして薄見くんの片手で私の両手が頭上に固定されてびくともしなくなる。
「な、なにするのっ…?」
あぁ、ダメだ…考える力も弱くなってきてて…。
「ん?愛花を吸うの」
そして今に至る。
私を見下ろすカヨイくんの瞳は熱を帯びていて、どこか艶っぽい。
ダメだ、絶対ダメなやつ…リアルの恋なんて興味無かったはずなのに…。
私は頭がキャパオーバーになって、気が絶たれた。
―――――
くたんと力無く目の前で気を失った愛花。
少しやりすぎたか?
だが仕方がないだろう。
ずっと探していたあの時の子がやっとの思いで見つけられたかと思ったら、俺のことを覚えていなくて、こんなに甘い匂いさせて…
他のやつに見つけられていたらと思うだけでも、腸が煮えくり返る。
これからは彼女を絶対に離さない。
俺にぐずぐずに溶けて、俺ばっかりになれば良い。
俺の愛花なんだから。
「あ~好きすぎて壊れそう」
それが私で、私じゃない…。
私の好きは恋愛の意味で、彼の好きは、補食対象の好きなのだ。
旧校舎の中庭でぐっすりと眠っていた私は、うっすら目を覚ますと、ゆっくりと近付いてくる綺麗な顔が見えてすぐに誰だか分かった。
薄見カヨイくんだ…。
校内では有名な話で、綺麗な赤い髪の毛と赤い瞳は、獲物を探すようにいつも細められ、見つめると誰でも虜にしてしまう。
そんな彼が有名人なのはその髪と目だけではなく、容姿全てにおいて、綺麗すぎたからだ。通った鼻筋や、長いまつげ、薄い唇に透明な肌…誰もが二度見…いや、三度見はするほどの女性顔負けの美人さんだった。
しかも、高身長で、華奢な体はよく見ると、引き締まっているとかなんとか…、女子は目を合わせずとも虜になってしまう。
ファンクラブまであるらしい。
と言っても、私にはその気持ちが全くもって理解できなかった。
だって、彼は人とあまり話さない、一匹狼のような人で、そんな人と恋愛をするなんて、大変なのではないだろうか?
それに、恋愛というのは、なぜそんなに盛り上がる話題なのだろう?
いや、これでは語弊があるか…。
リアルの恋愛に何を求めているのだろう?と思うのだ。
私は恋愛なんてしたことがない。だって、私は少女漫画や恋愛小説は大好きだけれど、そんな素敵な恋は、お話のなかだからこそと理解しているからだ。
そんななかで、他人のちっちゃい恋の話なんて興味が沸かず、ましてや、大人気な薄見くんとやらにも、興味がこれっぽっちもわかなかった。
なので、クラスで誰が好きとか誰が誰に告白するとか、興味がなかった。
だから……だから、自分がこんな恋をすることになるなんて、思ってもみなかった。
「う、うすみ…くんっ」
私の上に覆い被さるように目の前にいる薄見くん。
胸のところのリボンがほどかれて、襟ぐりが乱れてしまっている。
両手が薄見くんに掴まれてびくともしない。
反抗しようにも不可能だ。
薄見くんの目、いつもより鋭利に見える。
突き刺さるよう。
見られるだけでも、体がくすぐったくなる。
「違うでしょ?」
「んっ…」
開いた首もとをなぞるように薄見くんの手が露になった鎖骨のした辺りまでくる。
「俺のこと、なんて呼ぶんだっけ?」
「か、よい…くんっ」
目頭が熱くなって、カヨイくんの顔が涙でにじんで見えるけれど、なんだかご満悦な顔をしているように見える。
少しだけ、狂喜をはらんだような…―
「んぅっ」
「ん、やっぱり愛花のは甘くて上手いね。くらくらするほど」
カヨイくんの手元の鎖骨辺りにカヨイくんの唇があたって、ちゅうっと吸われる。
どれも私には初めての感覚過ぎてついていけないし、くすぐったがりなせいで、変な声が出てしまう。
2人きりの部室…―なぜこんなことになったかというと、発端は3日前に遡る。
「美味しい…」
私は一人で旧校舎の中庭にて、あんぱんを頬ぼっていた。
私は羽柴愛花。
友達のいない青春背景の生徒。
特技は影を薄くすること。
もとから気付かれにくいだけだけど…。
甘すぎるものは食べれないけど、甘いものは普通に好き。
だからあんぱんを買って美味しい、美味しいと1人舞い上がって食べていた。
すると、中庭の扉が開き、扉の奥から1人の男子生徒が姿を現した。
薄見カヨイくん…。
妙に気まずい…って、あれ?なんだか薄見くんの様子が変…?
「…甘い匂いがする」
「あ、多分このあんぱんだと思います…すいませ―」
嫌な匂いをさせてしまったかと思ったら、彼はあんぱんを気にせず、私につかみかかってきた。
「え…」
「きみ…だれ?」
だ、誰って…なんで自己紹介しなきゃいけないの?
とりあえず掴まれている腕をはなしてほしい。
随分強い力で掴まれているのか腕をひっぱっても中々振りほどけない。
「…あの、はなしてもらえませんか?」
赤い瞳孔が私をじっと見下ろす。
よく見ると、彼はどこか過呼吸で余裕がなさそうだ。
熱っぽい瞳がそこにある。
胸が動揺して変な鳴り方をしていて、なんだかくすぐったい。
一刻も速くこの場を離れたい…。
「俺の質問に答えてから」
…。
なんでそんなこと…。
と思ったが、別に名前を言うだけで、はなしてもらえるならそれでいいかとも思った。
「…2年の羽柴愛花です。あなたは有名なので知ってます」
少し嫌みだったかもしれない。
あなたは有名だから私は知っているけれど、あなたは知らない私に話しかけたのだと。
「そうか…ごめん」
やっとはなしてくれたかと思ったら両腕を掴まれて引き寄せられる。
「えっまっ!?」
そして襟ぐりを突然広げられる。
な、何して―
「んっ」
そこに、吸血鬼がよく血を吸うような首筋のあたりに彼の舌が這われたかと思うとぢゅうっと突然強く吸われる。
「んぅっんっ」
唇がゆっくりと離れて、薄見くんは驚いたような顔をしていた。
「きみの…羽柴のは甘ったるいのに、こんなに上手い…どういうこと…なんでこんなに甘い匂いなのに…」
こ、この人ずっとなに言ってるの?
今私は何をされたの?ていうか、どういうこと?頭がパニックだ。
薄見くんに吸われたところにはキスマークのようなものができていて、痕が残ってしまっている。
私はドンッと薄見くんをおして、頭の整理がつかないままその場を後にした。
翌日放課後の帰路、薄見くんとばったり鉢合わせた。
「あ、羽柴さんあの…」
「あぁ!えっと、薄見くんですよね!あの、昨日のことはもうお互い水に流しましょう!無かったことにしましょう!?」
あまりに必死だったかもしれないけれど、私にしたら少し乙女心を傷つけられたぐらいなのだ。
出きればもうこの人とは関わりたくない。
私は笑顔で薄見くんの横を通り抜けようとすると、片腕だけがしりと掴まれた。
けれど昨日ほど強くはない。
加減をされているのだろう。
「いや、流さないよ。昨日確かに俺は愛花の気を吸った。俺は消さない」
「き?」
気を吸うとはどういうことだろう?
彼はもしかして…
「俺は、吸血鬼の末裔だ」
…え?
突然のカミングアウト?
吸血鬼…なんて、今時居るわけが…それに、昨日は血なんて吸われていない。
私の疑問に気付いたのか、薄見くんが口を開いた。
「といっても普通の高校生とたいして変わらない。ただ、たまに血を吸うのではなく、人から口を通して気を吸いたくなる」
「き…って、なんですか?」
「人間のもとからある力のことだ。感情の起伏によって蓄えられる」
「は、はぁ…」
そういうものがあるのか…というか、それ以外は普通の高校生なんだ。
「昨日は本当に悪いことをしたと思う。突然…」
「あっ、いえ、ですから、その水に流しましょうと…!」
「だけど、一度吸ってしまうと、これからはもっと強烈に吸いたいという欲求が出てくる」
「え…それってつまり…」
ま、また吸われるってこと?
「悪いけど、俺はもう愛花のことはなせないから」
「っ…!!」
その瞳に見つめられて、心臓が高鳴るのがわかる。
けれど、本当にごめんと頭を下げられてしまった。
私は頭が追い付かない現実的ではないことを受け止めきれないまま、朝を迎え、放課後また薄見くんと出くわすことを不安に思い、久しぶりに旧校舎の図書準備室によってみることにした。
旧校舎はまず、人が来ることじたい少ないから、図書室でも良いけれど、こじんまりとした、準備室の方が私は好んでいる。
半分ルンルン状態で扉を開けた…のだけど…まさかのそこに居た。
「え…薄見くん?」
「あぁ、やっと来た。愛花」
昨日からさらっと下の名前で呼ばれている。
「な、なんで…」
「ここ、部室になったから。愛花俺のこと名前で呼んでくれない?他人行儀嫌なんだけど。敬語もやめて。同い年だし」
そんなことはすっ飛ばして…
「え!?ここが部室になったんですか?いつのまに…」
「ん?今日さっき。旧校舎図書準備室の本を新校舎に持っていく部」
えっと、つまり雑用をする部活になってて、部室になってたってこと。
薄見くんは呼んでいた本を閉じて、ソファから腰を上げる。
「ね、吸いたい」
っ…!!
耳元で囁かれて、じんじん熱い。
耳の裏とかなんかくすぐられて…。
「んっんぅっ」
あ、やだ…変な声…。
後ろで扉が閉じて鍵の閉まる音がしたけど、くすぐったがりな体がそれどころではないといってくる。
「愛花敏感だね。可愛い」
「ん…んっあっダメ…」
耳がペロっと舐められてびくびくと震えて力が入らなくなる。
カクンと耐えられず倒れそうになった私を抱き上げて、さっきまで薄見くんが座っていたソファに押し倒される。
「愛花、どんどん甘い匂い強くなってる。誘ってるの?」
「んっ、や、めて…くすぐったい…」
なのに、体は言うことを聞いてくれない。
早くここから逃げなきゃいけないのになにかを期待している自分がいる。
そして薄見くんの片手で私の両手が頭上に固定されてびくともしなくなる。
「な、なにするのっ…?」
あぁ、ダメだ…考える力も弱くなってきてて…。
「ん?愛花を吸うの」
そして今に至る。
私を見下ろすカヨイくんの瞳は熱を帯びていて、どこか艶っぽい。
ダメだ、絶対ダメなやつ…リアルの恋なんて興味無かったはずなのに…。
私は頭がキャパオーバーになって、気が絶たれた。
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くたんと力無く目の前で気を失った愛花。
少しやりすぎたか?
だが仕方がないだろう。
ずっと探していたあの時の子がやっとの思いで見つけられたかと思ったら、俺のことを覚えていなくて、こんなに甘い匂いさせて…
他のやつに見つけられていたらと思うだけでも、腸が煮えくり返る。
これからは彼女を絶対に離さない。
俺にぐずぐずに溶けて、俺ばっかりになれば良い。
俺の愛花なんだから。
「あ~好きすぎて壊れそう」
