後悔しない、ひとつのこと
「どうして爽さんは亡くなったのか、話せたらでいいんだ。教えてくれないか」

「知らない」

聞く勇気なんて持ち合わせていなかった。

聞く資格だってない。

知りたくもないことだ。

だから都合のいい理由をつけて逃げた。

なのに。

「そっか。そうだよな。ごめんな、すぐにわかってやれなくて」

なのにどうして。

どうして誰も俺を責めないんだよ。

「聞けそうになったらでいい。爽さんが亡くなった理由、聞いてみなさい」

「聞けない。俺は聞くべきじゃない。そもそも俺が幸せに暮らせるって。泣いても笑っても、自分の感情を表現してもいいんだって。そんな馬鹿な勘違いしたから。だから爽は_」

「廉!」

父さんが大声を出す。

その声を聞くと、まだ心臓が大きく跳ねる。

「あ...ごめん。でも。それは違うんじゃないか?」

「え?」

「廉の居場所を奪ってしまったのは父さんで。爽さんは父さんが奪ったものを廉に渡してくれた。だから...廉が悪いことは無い。絶対に」

本当にそう思ってしまっていいのだろうか。

俺は悪くないなんて。

笑ってても泣いてても。

それが俺だって言っていいのか。

「父さんのせいだ。ごめん....廉」

父さんは机すれすれまで頭を下げる。

「父さんのせいじゃないよ。俺の気持ちの問題なんだと思う。......光が見えて、あそこに行きたい。あそこなら。そう思って走り出した。そしたら消えたんだ」
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