次の電話
「うん、うまい」

 そういって彼は本当においしそうに私の作ったご飯を平らげていく。
 そんな様子を見ているのがうれしくて、しばらく見ていると
「ん、食べないの?」
 彼はそう言うや否や、私の皿からエビフライを奪っていった。

「あぁ! エビ!」
 大好物なのに~。

 声にならない声で非難しても、彼は知らん顔で、あっという間に皿を空にしていった。
 見てて楽しくなるぐらい、いい食べっぷりだなぁ。

 久々に一緒に食べるご飯。
 テレビを見ながら、他愛のないおしゃべり。

 「あ、俺、もう行くわ」

 ……そして、あっという間に彼は帰っていく。

「んじゃ、おやすみ」
「うん、気をつけてね」

 短いキスを交わし、彼の背中を見送る。

 今日も言えない。

 ……今度はいつ会える?

 きっと彼はこう答えるだろう。

「いつでも」

  でも、鳴らない電話。
  きっと明日はいつもの仲間と一緒だね。
  好きって言ってくれたのはあなたなのに、いつも待つのは私……。

  携帯を持たないあなた。
  でも、いつもうちにはいないあなた。

  ずるいな……。
  私のほうが、絶対好きだよ。

 もう待たないと思うのに、あなたの声を聞くだけで、その決意はもろくも崩れ去る。
 会えない日、いつも涙が止まらないなんて、あなたは知らないでしょう。
 本当は、ずっと一緒にいたいだなんて、夢にも思ってないでしょう。
 いっそ、さよならしたら楽だろうだなんて。

  鳴らない電話。
  携帯なんて持たなければよかった。


 冷たいシルバーのボディをなでながら、私は次の電話を待っている……。
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