始まりは一夜の出会いから
「…私、これがきっと最後の恋だと思って、新くんと一緒になる決意したの。だけど、新くんはもし私が結婚したいって押し切ったら別れるって事…?」


 じゃあどうして、新くんは私と交際したの?
 その場だけで楽しむつもりだったの?

 どれも言葉にしたくなくて、選んだつもりだったけど自分で放った別れるの言葉に思ったよりダメージを受けた。

 新くんは少し悩んだ態度をしたけど、それから静かに発せられた言葉は、聞きたくなかった。


「有咲さんの気持ちは嬉しいです。でも、結婚を望むなら俺とじゃない方が良いかもしれないです。今すぐに答えは、出せません。すみません」

「俺とじゃない方が良いって…、私に振れって言ってるの?」

「俺の我儘で有咲さんを縛り付ける訳にはいきませんから」


 そう言葉にした時の新くんは真顔で、冷たい表情だった。

 この後、どうなったのかあまり記憶に残っていない。新くんの拒絶が苦しかった事だけ覚えていて、言われた事だけが頭から離れなかった。

 ずっと好きで居てくれた新くんは、何だったの?
 どうしてあんなに長く片思いしてくれていたの?

 どれも言葉に出来なかった。

 私が結婚を望むなら別れてもいい。
 この言葉の現実をまだ受け入れられない。
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