僕と影~生首に出会う
17.石
「薬、かけていい?」
「う、うむ……」
僕は瓶の蓋を開けて、中身を生首にぶちまけた。
「乱暴かよ。もう少しやりようがあるだろうが」
「ご、ごめん。飲む薬かもだもんね」
「そういう問題じゃねえ……」
生首はしばらく目をぱちぱちしてから、不思議そうに眉をひそめた。
「何か? 見えるだろうか?」
「んー、んー?」
なんにも……あ、後ろだ。
「後ろから、外に線が繋がってるね。外に出てる」
僕は窓から外を見た。
緑っぽい線がぼんやり光りながら、家の庭から、さらに遠くへ伸びている。
「どこまで続いてるんだろう?」
「わかんねえなあ」
「なら、私が見てきましょうかね」
「メブキさん!」
うちの塀の上を猫又のメブキさんが歩いていた。
今日はメトロはいないみたい。
「嵐の日、メトロを坊やのお家で休ませてくれたでしょう? そのお礼です」
「そういうことなら、頼んでいいかな」
影が頷くのを確認してから、僕はメブキさんにお願いした。
「私が戻らなかったら、メトロと子供たちをよろしくねえ」
「縁起でもないこと言わないでよ。あ、これ持って行って」
僕は引き出しから小さな石を出した。同じくらい小さな巾着に入れてメブキさんに差し出す。
「これは……あらあら対価が払えないわ」
「そうでしょ。だから帰ってきて返してね」
「ふふ、坊やもすっかりしたたかねえ」
メブキさんは笑って、二本の尻尾を揺らしながら去って行った。
「メブキ殿に何を渡されたのだ?」
「蛙石。かえるいしとも言うね。帰ってきてねってことで」
「なるほど……貴殿は歳に見合わず聡明よなあ」
感心する生首に、影は相変わらず嫌そうな顔をしていた。
「う、うむ……」
僕は瓶の蓋を開けて、中身を生首にぶちまけた。
「乱暴かよ。もう少しやりようがあるだろうが」
「ご、ごめん。飲む薬かもだもんね」
「そういう問題じゃねえ……」
生首はしばらく目をぱちぱちしてから、不思議そうに眉をひそめた。
「何か? 見えるだろうか?」
「んー、んー?」
なんにも……あ、後ろだ。
「後ろから、外に線が繋がってるね。外に出てる」
僕は窓から外を見た。
緑っぽい線がぼんやり光りながら、家の庭から、さらに遠くへ伸びている。
「どこまで続いてるんだろう?」
「わかんねえなあ」
「なら、私が見てきましょうかね」
「メブキさん!」
うちの塀の上を猫又のメブキさんが歩いていた。
今日はメトロはいないみたい。
「嵐の日、メトロを坊やのお家で休ませてくれたでしょう? そのお礼です」
「そういうことなら、頼んでいいかな」
影が頷くのを確認してから、僕はメブキさんにお願いした。
「私が戻らなかったら、メトロと子供たちをよろしくねえ」
「縁起でもないこと言わないでよ。あ、これ持って行って」
僕は引き出しから小さな石を出した。同じくらい小さな巾着に入れてメブキさんに差し出す。
「これは……あらあら対価が払えないわ」
「そうでしょ。だから帰ってきて返してね」
「ふふ、坊やもすっかりしたたかねえ」
メブキさんは笑って、二本の尻尾を揺らしながら去って行った。
「メブキ殿に何を渡されたのだ?」
「蛙石。かえるいしとも言うね。帰ってきてねってことで」
「なるほど……貴殿は歳に見合わず聡明よなあ」
感心する生首に、影は相変わらず嫌そうな顔をしていた。