家族に裏切られ全てを奪われた私は、辺境地に住む強くて心優しい彼に出逢い、沢山の愛と優しさに触れながら失ったモノを取り戻す
「気持ちは嬉しいが、男が女を床で寝かせて自分だけベッドを使う訳にはいかない。遠慮はしなくていい、お前はベッドを使ってくれ」
「いやです、私は使えません。それなら、外で寝ます!」

 ギルバートは何とかしてエリスにベッドを使わせたいと思っているのだけど、エリスはそれを頑なに拒否し続ける。

 いつまでも続く押し問答に困り果てたギルバートは悩み悩んだ末、

「――分かった、ならば二人でベッドを使う、それでどうだ? まあ、あのベッドは二人用では無いが、二人で寝れない事も無い広さだ。二人で使えばどちらかが床で寝る事も無い」

 二人一緒にベッドを使う提案をエリスにした。

 幸いギルバートが使っているベッドはセミダブルより少し大きめのサイズで二人一緒に寝れない広さでは無い。

 勿論、ギルバートに下心など一切無い。

 いつまでも折れないエリスに配慮して、二人で使う提案をしたまでだ。

 それは恐らくエリスも分かっているのだろう。

 だがしかし、エリスは異性とベッドで寝るという経験が一度だけあり、それがシューベルトとの初夜で、あれは彼女が生きてきた中で、一番苦痛な時間だった。

 シューベルトは経験が無く怖がり、嫌がるエリスを押さえつけ、無理矢理犯す形で自身の欲を放ったのだ。

 エリスにとってあの夜の行為はトラウマにしかならず、異性と同じベッドで眠る状況になればそれを思い出してしまいそうで怖かったのだ。
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