【2.26公開】ハルくんの、かくしごと。
覚悟ができているようで、できていない。
17年間、一緒に過ごしてきた時間を手放すには、未練があまりにも濃すぎる。
「ハルくんが、行けっていったんだから。私は…荻原くんのこと好きになりたいし」
俺に抱きしめられながら、どの口がそんなこと言うんだよ。
そう思った瞬間、体は勝手に動いていた。
後ろから顎を掴んで、無理矢理振り向かせる。
前よりも強引に、唇を奪った。
壊れろ。
ドンッと俺の胸を叩く小さい右手を掴んで、さらに強く、唇を押し付ける。
限界。ずっと、限界。頭が割れそうで、もう耐えられない。
(嫌いになって。俺のこと、好きになって)
矛盾した願いが、心の奥でぐちゃぐちゃに絡み合う。
「…っ…んっ…」
唇を離すと、顔を真っ赤にして瞳を揺らしながら俺を見た。
「これで、”また”浮気だな?」
学習能力のないお前が悪い――そう吐き捨てたくなる。
でも違う。ほんとは全部俺が悪い。
たった二文字、「好き」を言葉にできず。
嫌われたいと思いながらも、どこかで「好きになって」と願ってしまう。
強引に欲を押し付ける俺も、全部。
ちあが悪いことなんて、ひとつもない。
「さっ…さい、ていっ…!」
我慢していたのか、涙が溢れだすちあ。
その涙を見て、胸が締め付けられる。
俺が壊した。俺が傷つけた。
それでも、離せない。