妹ばかり見ている婚約者はもういりません
「サ、サヴェリオ殿下……」
呆れ顔で仲裁に入って来たのは、この国の第一王子であるサヴェリオ殿下だった。白い宮廷服を身に纏ったサヴェリオ殿下は、私たちを一人一人眺めながら言う。
「パーティーで高揚しているのはわかるけれど、紳士淑女なら周りの迷惑を考えないとね。みんな驚いてしまっているよ」
「はい、申し訳ありません……」
私は慌てて頭を下げる。ラウロ様は何か言いかけて、渋々といった顔で謝った。
フェリーチェとルドヴィク様も、さっきまでの態度はどこへやら、かわいそうになるほど顔を青ざめさせて殿下に頭を下げている。
静かになった私たちを見て、サヴェリオ殿下はにっこり微笑む。
「うん。わかってくれてよかったよ。せっかくのパーティーなんだから、仲良く楽しもうね」
サヴェリオ殿下は満足げに笑うと、子供に言い聞かせるような口調で言う。
それからなぜか一瞬だけ目を細めてラウロ様を見て、ひらひら手を振って去って行った。
「……サヴェリオ殿下に叱られるなんて……! お姉様のせいですからねっ! ああもう、最悪ですわ! 行きましょう、ルドヴィク様!」
「ああ、行こう。フェリーチェ」
フェリーチェは憎々しげにこちらを睨んでから、ルドヴィク様を引き連れて去って行った。
私は納得のいかない気持ちでその後ろ姿を眺める。絡んできたのは向こうなのに。
「……ジュスティーナ嬢、俺たちも一旦ここを離れようか」
ラウロ様は周りを見渡してから、私の耳元でそう囁いた。確かに周りの視線はこちらに集中したままだ。私はラウロ様を見てうなずき、一旦会場の外へ出ることにした。
***
会場のホールを出て、休憩室として使われている教室の方まで向かう。休憩室にはほとんど人がおらず、ようやく息を吐けた。
「……ラウロ様、騒ぎに巻き込んでしまい申し訳ありませんでした。その上妹が失礼なことばかり言って……」
壁際まで行くと、私はすぐさまラウロ様に頭を下げた。私がパーティーに誘ったせいであんな騒ぎに巻き込んでしまって、なんとお詫びしたらいいのかわからない気持ちだった。
しかしラウロ様は首を横に振る。
「いや、俺の方こそすまなかった。ムキになったせいでジュスティーナ嬢までサヴェリオ様に注意されることになって申し訳ない」
「いえ、ラウロ様が謝ることなんて一つもありませんわ! 全て私が悪いのです! 私のことを気に入らないフェリーチェが絡んでくることなんて予想できたのだから、軽率にパーティーに参加するべきではなかったのですわ」
私はうつむいて唇を噛む。
いくらラウロ様が否定してくれても、後悔する気持ちは消えなかった。
呆れ顔で仲裁に入って来たのは、この国の第一王子であるサヴェリオ殿下だった。白い宮廷服を身に纏ったサヴェリオ殿下は、私たちを一人一人眺めながら言う。
「パーティーで高揚しているのはわかるけれど、紳士淑女なら周りの迷惑を考えないとね。みんな驚いてしまっているよ」
「はい、申し訳ありません……」
私は慌てて頭を下げる。ラウロ様は何か言いかけて、渋々といった顔で謝った。
フェリーチェとルドヴィク様も、さっきまでの態度はどこへやら、かわいそうになるほど顔を青ざめさせて殿下に頭を下げている。
静かになった私たちを見て、サヴェリオ殿下はにっこり微笑む。
「うん。わかってくれてよかったよ。せっかくのパーティーなんだから、仲良く楽しもうね」
サヴェリオ殿下は満足げに笑うと、子供に言い聞かせるような口調で言う。
それからなぜか一瞬だけ目を細めてラウロ様を見て、ひらひら手を振って去って行った。
「……サヴェリオ殿下に叱られるなんて……! お姉様のせいですからねっ! ああもう、最悪ですわ! 行きましょう、ルドヴィク様!」
「ああ、行こう。フェリーチェ」
フェリーチェは憎々しげにこちらを睨んでから、ルドヴィク様を引き連れて去って行った。
私は納得のいかない気持ちでその後ろ姿を眺める。絡んできたのは向こうなのに。
「……ジュスティーナ嬢、俺たちも一旦ここを離れようか」
ラウロ様は周りを見渡してから、私の耳元でそう囁いた。確かに周りの視線はこちらに集中したままだ。私はラウロ様を見てうなずき、一旦会場の外へ出ることにした。
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会場のホールを出て、休憩室として使われている教室の方まで向かう。休憩室にはほとんど人がおらず、ようやく息を吐けた。
「……ラウロ様、騒ぎに巻き込んでしまい申し訳ありませんでした。その上妹が失礼なことばかり言って……」
壁際まで行くと、私はすぐさまラウロ様に頭を下げた。私がパーティーに誘ったせいであんな騒ぎに巻き込んでしまって、なんとお詫びしたらいいのかわからない気持ちだった。
しかしラウロ様は首を横に振る。
「いや、俺の方こそすまなかった。ムキになったせいでジュスティーナ嬢までサヴェリオ様に注意されることになって申し訳ない」
「いえ、ラウロ様が謝ることなんて一つもありませんわ! 全て私が悪いのです! 私のことを気に入らないフェリーチェが絡んでくることなんて予想できたのだから、軽率にパーティーに参加するべきではなかったのですわ」
私はうつむいて唇を噛む。
いくらラウロ様が否定してくれても、後悔する気持ちは消えなかった。