君のためにこの詩(うた)を捧げる
第6話「君を奪うと言った日」
「……ドラマ、決まったんだ」
昼休みの屋上。
七海が嬉しそうに笑っていた。
スマホの画面には、ネットニュースの記事。
《橘輝、新ドラマで恋人役に抜擢された新人女優・春野七海》
「すごいでしょ? まさか私がオーディション受かるなんて」
「……ほんとに、すごい」
澪は笑顔を作ったけれど、心の奥で何かがざらりと波打った。
(七海が……輝の、恋人役)
七海は芸能事務所に所属していて、昔から演技が上手かった。
嫉妬なんて、したくない。
でも、あの名前を見た瞬間、胸の奥がチクリと痛んだ。
「撮影、来週からなんだって。キスシーンもあるんだよ、やばくない?」
「……キス、シーン?」
「台本に書いてあってさ、“初恋の再会”みたいな感じで」
七海は照れくさそうに笑う。
その笑顔が、澪には遠く感じた。
(私とひかるの再会と、同じじゃん……)
昼休みの屋上。
七海が嬉しそうに笑っていた。
スマホの画面には、ネットニュースの記事。
《橘輝、新ドラマで恋人役に抜擢された新人女優・春野七海》
「すごいでしょ? まさか私がオーディション受かるなんて」
「……ほんとに、すごい」
澪は笑顔を作ったけれど、心の奥で何かがざらりと波打った。
(七海が……輝の、恋人役)
七海は芸能事務所に所属していて、昔から演技が上手かった。
嫉妬なんて、したくない。
でも、あの名前を見た瞬間、胸の奥がチクリと痛んだ。
「撮影、来週からなんだって。キスシーンもあるんだよ、やばくない?」
「……キス、シーン?」
「台本に書いてあってさ、“初恋の再会”みたいな感じで」
七海は照れくさそうに笑う。
その笑顔が、澪には遠く感じた。
(私とひかるの再会と、同じじゃん……)