君のためにこの詩(うた)を捧げる
第2話「秘密の転校生」
翌朝。教室に入ると、どこか落ち着かないざわめきが広がっていた。
「なんか、転校生くるらしいよ」
「え、今の時期に?」
七海が机に身を乗り出す。
「まさか、撮影で来てたあの人とかじゃ――」
「ないない!」
と澪は笑い飛ばした。
(……そんな偶然、あるわけないよね)
だが、次の瞬間。
「転校生を紹介します」
担任の声に続いて、教室のドアが開く。
静まり返る空気。
そして――
「橘 輝です。今日からしばらく、お世話になります」
教室が、爆発した。