離婚するはずが、凄腕脳外科医の執着愛に囚われました
散々悩んだ上で離婚を決意したというのに、こんなにもあっさり考えを翻すなんてと思わないではないけれど、それでも自分の気持ちに正直になっていいのなら。
「……やっぱり離婚したくないって、言いだしちゃうかもよ」
ずるい言い方をしている自覚はあったため、その声は小さく震えてしまった。
けれどしっかり律に届いていたらしく、彼の歩みがぴたりと止まる。
「未依」
低く響く声で名前を呼ばれた。
ちらりと上目遣いで彼を見上げると、驚いたような、信じられないものを見るような目でこちらを見つめている。
ドクン、と鼓動が大きく跳ねた。
「本気か?」
本当はきちんとした場を設けて言うつもりだったのに、こんな風に買い物の途中で言ってしまったことに身を縮こまらせる。