離婚するはずが、凄腕脳外科医の執着愛に囚われました
衆人環視の中でケイトに対し、未依を妻だと宣言した。それは胸に根付いていた不安を吹き飛ばすほどの威力があり、意地が悪いと思いつつもちょっとした優越感を覚えてしまう。
(っていうか、手……! なんで手を繋いでるの……!)
律はスマホを持つ手と逆の手で、未依の手をぎゅっと握りしめたままだ。逃さないと捕まえられているような、律の妻は未依なのだと安心させてくれているような、力強く握られた手はどちらともとれる。
ちらりと英語で電話をしている律を見上げると、彼は電話口の相手と話したまま、未依に視線を向けた。口の端をわずかに上げただけだけれど、それでも彼の瞳には仕事中とは違う甘さが含まれていて、未依を大切に思っていることが誰の目にも一目瞭然だ。
案の定、フロアがこれまでと違ったざわめきを見せている。
(病院でこの顔を見せちゃったら、律くんファンが増えちゃうんじゃ……)
そんな余計な心配をした時、美しい顔を怒りに歪めたケイトが未依に向かって手を振り上げていた。