Existence *

奪われる闇

自分でも何かを感じていた。

いつもと違う自分。

いや、舞い戻ったかのような感覚――…


「おい、お前。風邪かよ」


仕事中、止まらない咳に観兼ねた蓮斗が俺に声を飛ばす。

乾いた咳が喉の奥から込み上げて来る。


「いや、違う」

「は?違う?そんな咳してんのに?」

「あぁ。喉もなんも痛くねぇし」

「つかよ、思い出したけどお前そんな事昔にも言ってなかったか?」

「んー…」

「んで、お前その後入院しただろうが」

「……」


俺もここ最近、思っていた。

あの時と同じ症状。

でもこうなってしまったのも自分でもわかる。


飲みすぎ。

ここ最近してはいけないといわれている大量の酒。

そんな事しても自分では何もならないと勝手に決めつけていた。


そして身体がだるい。

いや、もしかして風邪だろうか。


「お前さ、病院行って来いや。最近、飲んでんのかよ?ユウトがお前の事聞いてきたんだけど」

「はい?」

「飲み歩いてる話聞くって」

「……」

「そんな行ってっと美咲ちゃんなんか言うだろうが」

「……」

「夜の事でなんかなってんのか知んねぇけどよ、酒で解決すんなや」

「したくても出来ねぇわ」

「はい?とりあえずその咳が気になって、作業が進まねぇわ。そか帰って病院行って来いや」


蓮斗のめんどくさそうな声。

顔を顰めて、言い放つ蓮斗は俺の顔を見てため息を吐き出す。
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