Existence *
美咲が一向に出ない電話。

仕方なく俺は諒也に電話をする。

ほんとは、こんな事したくねぇけど諒也しかいない。


「…はい」

「あー…諒也?」

「どうしたんすか?あ、もう退院?」

「そんな訳ねぇだろ」

「やっぱり。で?」

「あのさ、美咲にここに来いって伝えてくんね?」

「…美咲?」

「あぁ」

「え?電話で呼んだらいいじゃないっすか」

「そうしたい所なんだけど、出ねぇから」

「出ない?なんで?」

「さぁ…悪いけどそれ伝えてくれるだけでいいから」


そう言って電話を切る。

諒也の声が不思議そうだった。

あの感じからすると、俺と美咲が別れた事はまだ諒也の耳に入ってはいなさそうだった。


葵ちゃんから聞いていないのだろうか。

むしろ美咲は葵ちゃんにも言ってないのだろうか。


まぁ、別にそこはどうでもいいにしろ、早くこのお金の事について美咲と話をしたかった。


諒也から美咲に伝えたという連絡が来たのはその2日後だった。

特に諒也からは何も言われることもなく、ほんとにそれだけの内容だった。


だけどそれを聞いてから刻々と時間が過ぎ、もうすぐで1週間は経とうとしている。


「あいつ、」


美咲は一向に来ない。

だから余計に俺の気持ちが苛々とし始める。


あいつはどこまで俺を避ける気なんだろうか。

別に俺に対しての気持ちがないのであればそれはそれでいい。

むしろもう一度俺の事を好きになって。とまでは言わない。


ここまでして俺を避けること自体、腹が立つ。


「一方的に金渡してくんなや」


心の中で小さく舌打ちをする。

ベッドからすり抜け、俺は受付に顔を出す。

周りに視線を送り、そこで止まった俺の視線。


「…実香子っ、」


俺の声で実香子が振り返る。

顔を顰めて、慌てて駆け寄って来た実香子は周りを見渡していた。

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