君が大人になった時、もしまだ俺のことが好きだったなら・・・
「・・・手術、ですか?」
「・・・いや・・・バレーをやめることを考えなければならないということです」

「バレーをやめる!?」
「小林の膝は手術をしなくても、生活に支障ない程度には治るんです。
ただ、それはあくまでバレーをしない生活です。
バレーをしようと思えば手術がいるし、した後もリハビリが待ってます。
リハビリしたとして今までのように飛べる保証もない。
しかも高校バレーの引退試合には確実に間に合わない。
今の実績で大学の強豪校に入ったとしても試合に出られる保証は限りなく低い」

「そんなッ!」
「小林は、小林のバレーセンスはピカイチなんですよ。
ジャンプ力もあるし。
中学生の小林を見つけたのは俺なんですよ。
ただ、高校に入ってそこまで身長が伸びなかった。
小林がここで無理して手術をしても高校バレーは引退です。もう、試合には出れません。それを言うのは、きついよね。
ゴクゴクゴク」
伊達はハイボールを飲みほし、ドンっと握りしめたグラスをテーブルに激しく置いて、

「小林がどれほどバレーを好きかを知ってるんですよ。
そんな小林がバレーを諦める選択肢をとる方向で大人たちが動いているんですよ。
すみませーん!ハイボール、お代わりくださーい!」
「俺はビールください!」

「え?浅倉先生、車なんじゃ?」
「これが飲めずにやっていられますか?俺も明日取りに来ます」

そう言って飲んだビールは苦かった・・・。


< 43 / 75 >

この作品をシェア

pagetop