この命のすべてで、君を想いたい
5章 別れも運命
私は嫌われたかった
昼休みの屋上は、春の風がやわらかく吹き抜けていた。
季節はもうすぐ春になりそうだった。
いつもの五人で囲んだ弁当の時間は、本来なら一番楽しいはずだった。
「ねぇ!春休み、どっか行こ!」
沙月が嬉しそうにお箸を止めて言う。
「わかる。遊ばないと死ぬ〜」
蓮太郎が即座に乗っかると、裕大が呆れたように笑う。
「いや死なないだろ。どこ行きたいんだよ、お前ら」
「んー!みんなで海とかどう?」
「春に海は寒いって」
空も笑ってツッコミを入れていた。
――みんな、ほんとに楽しそう。
雫はその輪の中にいるのに、透明になっていくみたいだった。
弁当はほとんど手をつけられず、ただ聞いていた。
「雫はどこ行きたい?」
空の声がやさしくて、胸が痛んだ。
行きたい場所なんて、山ほどある。
海でも、遊園地でも、
みんなとならどこだってよかった。
けれど――その未来が自分にはない。
『…どこでもいいよ』
絞り出した声は、小さくて震えていた。
空は雫の顔を覗き込む。
「どうした?体調悪い?」
その気遣いが優しすぎて、雫は視線をそらした。
風が吹き抜け、弁当の袋を揺らした瞬間だった。
――今言わなきゃ。
――今日を逃したら、二度と言えない。
雫は、深く息を吸った。
みんなの声。風の音。空の視線。
その全部が最後の記憶になるかもしれない。
泣かないと決めた。
泣かないで、ちゃんと嫌われる。
でも心の中では叫んでいた。
――助けて。離れたくない。
――空の隣に、いたい。
季節はもうすぐ春になりそうだった。
いつもの五人で囲んだ弁当の時間は、本来なら一番楽しいはずだった。
「ねぇ!春休み、どっか行こ!」
沙月が嬉しそうにお箸を止めて言う。
「わかる。遊ばないと死ぬ〜」
蓮太郎が即座に乗っかると、裕大が呆れたように笑う。
「いや死なないだろ。どこ行きたいんだよ、お前ら」
「んー!みんなで海とかどう?」
「春に海は寒いって」
空も笑ってツッコミを入れていた。
――みんな、ほんとに楽しそう。
雫はその輪の中にいるのに、透明になっていくみたいだった。
弁当はほとんど手をつけられず、ただ聞いていた。
「雫はどこ行きたい?」
空の声がやさしくて、胸が痛んだ。
行きたい場所なんて、山ほどある。
海でも、遊園地でも、
みんなとならどこだってよかった。
けれど――その未来が自分にはない。
『…どこでもいいよ』
絞り出した声は、小さくて震えていた。
空は雫の顔を覗き込む。
「どうした?体調悪い?」
その気遣いが優しすぎて、雫は視線をそらした。
風が吹き抜け、弁当の袋を揺らした瞬間だった。
――今言わなきゃ。
――今日を逃したら、二度と言えない。
雫は、深く息を吸った。
みんなの声。風の音。空の視線。
その全部が最後の記憶になるかもしれない。
泣かないと決めた。
泣かないで、ちゃんと嫌われる。
でも心の中では叫んでいた。
――助けて。離れたくない。
――空の隣に、いたい。