この命のすべてで、君を想いたい

病室に来たのはあなた

ガラガラと病室のドアが開く。

カーテン越しに背の高いシルエットが見える。


『裕大?何してるのー?』

中々入ってこない裕大に私はそっと声をかける。



「ほんとに雫がいた」


カーテン越しの懐かしい声に
私は動揺を隠せない。


『な...なんで?』



「元気にしてた?元気なわけ、ないか」


カーテンが開く気配がして、私は慌てて布団に潜る。



『人違いだと思います!』

はっきりとそう言いきったが、
私の声は震えていた。


違う...違う、なんでここに来てるの
布団を持つ手もふるふると震える。


「雫、ちょっとだけ話したい」


懐かしい声に胸の奥が静かに温まるのがわかる。

このまま飛び出して抱きしめたい。
そんな気持ちが頭をぐるぐると回る。



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