この命のすべてで、君を想いたい
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その後雫は休憩時間をもらって、今度は空のクラスへ向かった。
焼きそばの匂いが廊下まで広がっている。
「いらっしゃいませー!」という声の中、空がフライパンを振っていた。
「空ー、雫が来てる!」
と裕大が言ってくれる。
空は気づくと、手を止めてこちらを向いた。
「お、雫! 来てくれたんだ」
『……うん。なんか、いい匂い』
「でしょ。ほら、これサービス」
空はトングを持ったまま、焼きそばの一口を取り分けてくれる。
雫は受け取って、ふーっと息を吹きかけて食べる。
『おいしい』
「だろ?」
そのやり取りだけで、周りのざわめきが遠くなる気がした。
「午後はもう少し、自由に回れる時間があるんだって」
空は少し小声で雫に耳打ちするように言った。
『え、ほんと?』
「うん。午前中はそれぞれの担当で大忙しだったから、午後からはゆっくり回ろう」
空の声には自然な優しさがあって、雫の胸がまた少し熱くなる。
『うん……回る!』
雫はちょっと顔を赤らめながら、制服の袖をぎゅっと握る。