この命のすべてで、君を想いたい
「学校始まってから朝が寂しいよ。」

空が手を握ろうとすると、雫の体がビクッと驚く。

『ごめん、びっくりしただけ』

昨日沙月に聞いた話を意識して、なんだかぎこちなくなってしまう。


空は続けて、優しい口調で言った。


「俺一緒にいられるだけで今は十分幸せだよ。」


でも、空に我慢させたくない
私は思ったけど、口に出せなかった。


「俺たちのペースで行こう。雫が準備できるまで、ちゃんと待つから」




その言葉に、雫は胸がじんわり温かくなる。自然と微笑み、空に手を軽く握り返す。

「だから、焦らなくていい。ゆっくり、二人で一緒に過ごそう」

雫は嬉しそうに黙って頷くだけ。
空はそれだけで十分満たされた気持ちになる。

空は私の気持ちをなんでもわかってくれて
私は何も出来ていないのにな


でも空のさりげない優しさと安心感に、胸がぎゅっとなる。


冬の光に包まれ、手をつなぐことも肩を寄せることも、自然で心地よい時間に思えた。


雫は少しずつ空を受け入れる準備を進めていた。


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