花に溺れ恋に純情~僕様同期御曹司の愛が私を捕らえて離さない~
 切羽詰まって急いで用件を伝える。「ご無沙汰してます。……あのね、私元気にしてる。突然だけど、アユちゃんに私のID伝えて貰っていい? 出来ればアユちゃんと直接話したいの」

「分かった。すぐ送るー。……なぁ、花、結婚するってほんま?」

 顎が外れるかと思った。母の情報管理能力の危機感のなさよ。「……まだ、そこまでは。ただ、いい感じに付き合っているひとはいる」

「そーなんね! そっかそっかおめでとなー。結婚式東京でするんやったら呼んでま。ディズニー行ってみたいさけ」

「……分かった」苦笑いが漏れる。「じゃあ、ありがとう。よろしくね。それじゃ、また」

「またなー。今度緑川帰ってきたらだべろ」

「そうだね。じゃあ、ごきげんよう」

 セレブみたいな挨拶で締めた。いかんいかん、恋生みたいなハイスペック御曹司と交際を始めてすっかり染め抜かれている。水野さんにおかえりなさいませと言われて、ええ、なーんて、白いつばのついた帽子を被ったセレブおねえさまみたいに、平然と返すこの日常。

「ごきげんよう、……なーんて言っている未来の自分は、想像も出来なかったなぁ」
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