花に溺れ恋に純情~僕様同期御曹司の愛が私を捕らえて離さない~
 他にも写真を何枚か、アユちゃんがカメラで写真を撮ったものがあるので、それと、自分の持っていたアルバムの写真を見比べてみる。高校生くらいであれば、アルバムをデコったりするけど、小学生時代はまだまだ物の扱いが雑で、写真屋さんでよくもらう10数枚ほど入る簡素な写真入れに、時系列も関係なしに乱雑に入れている。この写真がいつどこで撮ったものかとか、横に書いてくれていればヒントになるのに。

 ああ、悔しい。

 嘆いていても仕方ない。だが、ちゃんと、恋生と出会っていたのなら、出会った瞬間やその後も含めて大切に胸のなかにとっておきたかった。いまは写真や与えられた材料を見て推測するのみ。歯がゆい。

 海風が頬を撫でる。子どもがきゃっきゃ言っていて、船頭を見ればタイタニックごっこをしている学生がいた。若い。

 青い帽子に隠れたその頭を撫でてみる。すこしでもなにか、思い出せたらいいのに。あなたの声。存在も。

 汽笛が鳴った。陸に上陸する合図だ。他の観光客に倣って船を降りる。最初に行くのは、ガラスの美術館だ。

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