鳥籠
その葉を見て、呆然と立っていた少年の顔が見る見るうちに青ざめてゆく。

「はっ、はっ・・・ああああああああああああああああああああああ!!」

少年はその場に倒れこみ、嘔吐した。

「大丈夫!?今、先生を」

「あ、ぐあっ、うぐぅ、待っ・・・ってええええ!!」

ベットの近くにあるナースコールを押そうとした瞬間、必死に叫び止めた。

「呼ぶな・・・あんな奴ら、俺、をっ、絶対、可笑しい、て、笑う」

胸を抑えながら、その場を立ち、ベットに寝転がっている少年の首に手を伸ばした。

「あは、あ、はははは、なぁ俺、らは2人で1人、そうだろぉ?」

「う、あああ!!」

少年の細くて白い首に、もう1方の少年の手で首を強く絞められる。

苦しくて必死に抵抗しているが、ベットから立ち上がれずにいる少年を、ニタニタと不気味に笑いながら見下ろす。

「ずるい、ずるい。許してもらうだなんてずるいいよおおおおおお!!」

首を少年が嘔吐を止まらせ、必死にベットでもがく少年に向かって叫ぶ。

「俺だってぇ、同じだあ、なのに、ずるいいいいい!!」

「く、ああっ」

小さな子供が、自分の好きな物を買ってもらえずに駄々を捏ねている様に、少年は叫び続けた。

「俺も欲しいいいいい!良いな良いな良いな良いな良いなずるい、俺にも頂戴!!」

ますます首を絞める力が強くなってゆく。

それにつれ、首を絞められる力が強すぎて、そろそろ意識が無くなりそうな少年は押そうと思って押さなかったナースコールに手を伸ばした。

それに気づかない片方の少年は、未まだに首を絞め続けている。

その時、病室にはナースコールの音が響いた。
< 5 / 5 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

私だけだよね?
璃麻/著

総文字数/664

恋愛(その他)2ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
彼は私のモノ 私は彼のモノ だからずっと一緒 ずっと、ずっと…
片思いだったんだ。
璃麻/著

総文字数/1,087

詩・短歌・俳句・川柳4ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
ずっと思ってた。 ずっと憧れてた。 ずっと君を見ていた。 ずっと告白したかった。
あなたにさえ、言えたなら。
璃麻/著

総文字数/2,330

恋愛(その他)7ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
恋と愛 何が違うか? それは 恋が 人を想う事 愛が 人と人で想いあう事 似たようなもの けれども 全然違った 恋は楽だ だた人を想っているだけだから でも愛は お互い想いあわなければならない 悲しい事に 切ない事に きっと私は 愛をまだ知らない 恋をしている人だ 知ってみたい 愛という 人に想われる事を

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop