ベビーシッターでもこんな話聞いてません⁉︎

今回のベビーシッターのお仕事は想定外⁉︎

私は新城 燈《しんじょう あかり》 15歳。
私の家は父が早くに事故で亡くなってしまったため母子家庭で、少しでも母の負担を減らすために半ば強制的に母から許可をもらい、高校の通学費も自分で払うことに決め、子供が好きなこともあり、現在はバイト禁止の高校に内緒でベビーシッターのバイトをしている。
今日も依頼を受けて新しい家に向かっているところだ。
「ここか…ってデカッ!」
大声を出してしまうのも無理はない。とても綺麗に外装された、いかにもお偉いさんが住んでそうな大きな家だ。
こんな庶民の私が…と逃げ出したくもなったが仕事だしな。と諦めて、恐る恐るインターホンを押す。
ーピーンポーン…
大きな外観のせいか少しインターホンのコール音が気のせいだろうがおしゃれな気がする。
そして数秒後にスピーカーから男性のご老人の声だが少し気高そうな声が聞こえる。
「どちら様でしょうか。」
私は不安を抑えながら冷静にマニュアル通りに答える。
「櫻田ベビーの新城と申します。工藤さんのご自宅でお間違い無いでしょうか。」
会社の名前を宣言して名前を言う。数秒後さっきのご老人の声で許可が聞こえる。
「正面玄関の鍵を開錠したのでお入りください。」
迎えに来てくれないの〜⁈この空気感の中に一人で入るのはやだよ〜!などと弱音を心の中で吐きながら泣く泣く
玄関前のおしゃれな黒い門を開き、玄関のドアノブに手をかけて深呼吸してから扉を開く。
すると、よくドラマなどで見る大きなシャンデリアが天井に吊るされており、先ほどの声の持ち主であろうご老人が出迎えてくれた。
あらぁ、ご立派なお髭だこと…などと呑気に正装を装ったご老人の白い髭を見つめているとご老人が先に口を開く。
「どうぞ。お上がりください。こちらです。」
用意されていたいかにも高そうなスリッパに履き替え、案内されるままに広い家に中を着いていく。
そして一室の前で足を止めて
「ここです。」とだけ言い、部屋の扉を開く。
するとそこに居たのは可愛い子供…ではなく成人男性…⁉︎失礼になるので表情には出さず驚いているとご老人が言う。
「ご説明していませんでしたね。この子はうちの坊ちゃんの工藤 睦月《くどう むつき》と申します。そして私が坊ちゃんのお世話係兼坊ちゃんの父上の秘書をさせていただいております、斎藤 喜一郎《さいとう きいちろう》と申します。以後お見知り置きを。
さて、本題です。坊ちゃんは過去に大事故に遭っておりまして、不幸中の幸い命に別状はなかったのですが脳に損傷が残ってしまい、坊ちゃんの精神年齢は現在5歳です。そして坊ちゃんの母上は残念ながら…いや、このような暗い話はここまでにして坊ちゃんの父上のお話をしましょう。坊ちゃんの父上はは大手企業の経営をされていてご多忙なのです。私も秘書という仕事がございますので人手が足りない次第です。事前に説明をすると同情だけで受け入れていただけないところが大多数でしたので半ば強制的にはなってしまいましたが、どうかこのシッター依頼…受けていただけないでしょうか。」
笑顔で承諾を待っているがその笑顔を無碍にすることなど私にできるはずもなく、承諾してしまう。
「はい。私もバイトの身なので出来ることは少ないでしょうが誠心誠意お世話します。」
こうして私の少し奇妙な生活が幕を開けたのであった…
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