借金令嬢は異世界でカフェを開きます
尋ねると、オズワルドはちょっとバツが悪そうに「いえ、僕の仕事でもありますし」などとごにょごにょ言う。それに少し寂しさを覚えながらも、グレースは何度も感謝の言葉を述べた。
「このご恩にどう報いたらいいのでしょう」
自ら動き、グレースを、家族を、そして領地も守ってくれた人。
何をすれば礼になるのか想像もつかない。
「では、その、新年の舞踏会にですね、あの、僕のパートナーとして一緒に出てくれませんか」
真っ赤になりながら想定外のことを言われ、でも舞踏会に出られるようなドレスを持っていないグレースはうつむいた。
一生に一度であろうこの機会に、他のことではダメかと聞かなければならない。そう思っていると「ドレスは贈らせてください」というので驚いて顔をあげる。
「でもそんな」
ドレスを独身女性に贈るのは、相手が婚約者や恋人、もしくは娘に対してだ。彼からは自分が娘のように見えるのだろうか。
いや、そうなのかもしれない。こんな素晴らしい男性が、愚かな娘を対等に見るなんてありえない。そうでしょう?
「僕はこんな強面なので、パートナーがいないんです。それで、その、服は揃えたいので、こちらで作らせてもらった方が……って、グレース、なぜ泣くんですか?」
「ごめんなさい。無理です」