借金令嬢は異世界でカフェを開きます
「コーヒー? ……これだわ!」
コーヒーはソリス伯爵が投資した中で唯一成功している分野だった。その縁で投資先の一つである輸入業者から食材なども仕入れられそうだと判断したグレースは、さっそく関係者に手紙を出し、返事を待つ間にプランを固めた。
美古都のパパが経営していたのはカフェだった。五十代半ばで早期退職し、趣味を生かした居心地のいいお店。
店に漂うコーヒーの匂い、気軽な食事。
まだこの国にはないタイプの店だが、コーヒーが受け入れ始めている今なら成功できる可能性はある。
「いいえ、成功できると信じなくては。ためらってる時間なんてないわ。可能性があるならやるしかないのよ」
そう決意したグレースは、領地は心配だが祖母と弟に任せ、自分は王都のタウンハウスでコーヒー・ショップ、いわゆる「カフェ」を開くことにした。