私の愛すべき人~その別れに、愛を添えて~

十二月の冷たい空気が、街をきらびやかに彩るイルミネーションの光を、一層くっきりと際立たせる。

そのあまりに完璧な美しさは、私の空っぽの心を埋めてくれるどころか、容赦なくその空虚さを浮き彫りにした。

街には、楽しそうに寄り添い合い、ショーウィンドウを覗き込む恋人たちが、私の横を次々と通り過ぎていく。

クリスマスまで、あと一週間。 どこの店からも、当たり前のように流れてくる定番のクリスマスソングには、もはや耳を塞ぎたくなった。


ふと、ショーウィンドウに映った自分の姿に足が止まる。 なんて暗く、淀んだ顔をしているのだろう。

「髪、伸びたなぁ……」

長年セミロングを貫いてきたのに、いつしか腰の近くまで伸び、記録を更新中だ。この感傷ごと、ばっさりと切ってしまおうか。

はぁっと吐いた白い息が、冬の闇に溶けていくのを眺めていると、スマホの無機質な着信音が鳴った。

少し前までは「涼介かもしれない」といちいちドキドキしていたが、いつの間にかそんな期待すらしなくなってしまった。

スッと冷たい画面に指を滑らせ、メッセージアプリのアイコンをタッチする。

〝お前発見〟

一ノ瀬からだ。

そっけない、たった五文字の文章。その下に、しかめっ面のぬいぐるみのフレンチブルドッグが、サンタの帽子をかぶっている、なんとも言えない写真が添付されていた。

「なにこれ」

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