水色に混ざる夏
第1話 優しい夏に、水色の予感
夏休みの午後。
空はどこまでも水色で、アスファルトの照り返しだけでも日焼けしそう。
麦茶を飲んでも、ハンディファンを使っても、この暑さは和らがない。
でも、この胸の高鳴りを抑えるのに必死で、夏の厳しさなんか気にならなかった。
わたし——白川 凛花は、あまり賑わってない駅前の商店街へと足を運んでいた。目的は、ほんのわずかな《《可能性》》だ。
「……もしかしたら、偶然、彼に会えちゃったりして? いやいや、あるわけないよね。いや、でもゼロじゃないし……!」
自分で言っておきながら、赤面して一人で首を振る。
完全に怪しい人じゃん、わたしってば、ほんと炎天下で何してんの……

彼とは、同じ高校の2年生、蒼木 透。
ふつうに席も離れてるし、中学も別だったし、ただ同じクラスってだけ。
……でも、あのときから、なんか気になっちゃってる。
あのときとは、体育祭の実行委員に選ばれて、少しだけ一緒に準備をしたとき。
わたしがプリントをぐちゃぐちゃにしちゃって焦ってたら、
何も言わずに、予備のを渡してくれた。
目立つわけじゃないのに、進行もまとめてくれてて。
あのときの背中が、ずっと頭に残ってる。
なんでだろう。
ただ『優しかった』とか『頼りになった』とか、そういう言葉じゃ足りない感じ。
気づいたら、視線が勝手に追いかけてた。
空はどこまでも水色で、アスファルトの照り返しだけでも日焼けしそう。
麦茶を飲んでも、ハンディファンを使っても、この暑さは和らがない。
でも、この胸の高鳴りを抑えるのに必死で、夏の厳しさなんか気にならなかった。
わたし——白川 凛花は、あまり賑わってない駅前の商店街へと足を運んでいた。目的は、ほんのわずかな《《可能性》》だ。
「……もしかしたら、偶然、彼に会えちゃったりして? いやいや、あるわけないよね。いや、でもゼロじゃないし……!」
自分で言っておきながら、赤面して一人で首を振る。
完全に怪しい人じゃん、わたしってば、ほんと炎天下で何してんの……

彼とは、同じ高校の2年生、蒼木 透。
ふつうに席も離れてるし、中学も別だったし、ただ同じクラスってだけ。
……でも、あのときから、なんか気になっちゃってる。
あのときとは、体育祭の実行委員に選ばれて、少しだけ一緒に準備をしたとき。
わたしがプリントをぐちゃぐちゃにしちゃって焦ってたら、
何も言わずに、予備のを渡してくれた。
目立つわけじゃないのに、進行もまとめてくれてて。
あのときの背中が、ずっと頭に残ってる。
なんでだろう。
ただ『優しかった』とか『頼りになった』とか、そういう言葉じゃ足りない感じ。
気づいたら、視線が勝手に追いかけてた。