君のとなりで、恋をする

10話 揺れる通学路

──朝の電車。


始業前のラッシュで、車内はぎゅうぎゅうに詰まっていた。

押し込まれるみたいに乗り込んだ私は、なんとか吊り革にしがみつく。

背中にも横にも人の気配。

制服の生地が触れ合って、息苦しいほど近い。

次の駅で、さらに人が押し寄せた。

押し寄せる波に、体がぐらりと揺れる。


「わっ……」


前のめりに引っ張られ、足元のバランスが崩れた、その瞬間。


「危ねっ」


低い声と同時に、ぐっと腕を引かれた。

背中に、しっかりとした腕の感触。

振り返ると、すぐ後ろに結城先輩がいた。


「危ないから、じっとしてろよ」


短くそう言って、私を庇うように前に立つ。

ほんの少し身じろぎしただけで、肩と背中が触れそうな距離。

制服の背中越しに感じる近さに、心臓が大きく跳ねた。

息が詰まって、吊り革を握る手がじんじん震える。


(……ど、どうしよう……今、結城先輩に守られてる……?)


顔を上げる勇気が出なくて、視線は床に釘付けのまま。

それでも意識だけは、全部、すぐ近くにいる人に向かってしまう。


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