部長と私の秘め事
「尊さんのギンギンフィーバーナイトスティックなら、私が上でY字バランスとっても大丈夫と思ってましたけど」

「そこまでの強度はねぇよ。折れちまう」

「……私、〝中折れハット〟って聞いた時、中折れを思い出してしばらく笑ってた事あります」

「もうそれ、中学生レベルだろうが」

「ひひひ。先っぽに帽子被ってるの一緒でしょう」

「お前なぁ……、今どき親父でも言わねぇぞ?」

 心底呆れたように言われ、私はプルプル震えながら笑う。

「下ネタ朱里はお嫌いですか?」

「どんな朱里も好きだよ。お前ほど愉快な女はいないからな」

 尊さんはそう言い、チュッと私の額にキスをする。

 彼は上目遣いに私を見たあと、カプ、と喉元に軽く噛みついてネロリと舌を這わせる。

 そのあと肩も甘噛みし、同様に舐めていった。

「むぅ……。せっかくお照れタイムにならないように、冗談言ってたのに」

「全裸の男女がやる事は一つだろうが。ミコリンアカリンのトークショーも代えがたいけどな」

「むひひ……、しゅき」

 私は両手で尊さんの頬を包み、チュッとキスをする。

 すると彼は顔を斜めにして噛み付くようにキスをし返し、そのまま舌を差し込んで深い口づけをしていった。





 結局そのあとお風呂場で致してしまった。

「ちょっと水持ってくる。大丈夫か?」

 尊さんに尋ねられ、私はコクンと頷く。

 彼は「悪い」と一言謝ったあと、サッとバスルームの外に出て行った。

 それからすぐに水のペットボトルを持って戻り、バスタブに入ったあと「ほれ」とキャップを取って私に飲ませる。

「ん……、ん」

 クピクピと音を立てて水を飲むと、このまま目を閉じて寝てしまいそうな感覚が少し覚める。

「…………やっちまったな」

 尊さんは溜め息混じりに言ったあと、私が満足してペットボトルから口を離すと、それを手にしてゴクゴクと飲む。

「……大変気持ちようございました」

 感想を述べると、尊さんはぶふっと噴き出す。

「なら良かったけど」

 彼は腕を伸ばしてトンとペットボトルを置き、温かいお湯に身を浸して溜め息をつく。

「……なんか、色々話したい事があったはずなのに、セックスしたら頭から抜けてったな……」

「私も、宮本さんの事とか、色々頭の中でグルグルしていたんですが、……どうでも良くなっちゃった……。あとになったらまた悩むかもしれないんですが、今は『いいやー』ってなっちゃってます」

「世間には仲直りックスって言葉もあるみたいだし、ある程度セックスして解決する事ってありそうだよな」

「もうちょっと色々考える人になって、人からも『頭が良さそう』って思われたいんですが、割とご飯食べてお腹一杯になると『まぁいいや』ってなりますし、寝て起きたら大体忘れてますし、そういうもんですよね」

「それが一番平和でいいよ」

 尊さんはクシャッと笑い、両手で水鉄砲を作ると、ピュッと私にお湯をかけてくる。

「んー……」

 ポーッとした私が尊さんに抱きついてうなると、彼は「そろそろ上がるか」と言ってライトの色と強さを元に戻した。





 フェイスケアとボディケア、ヘアケアを終えたあと、私たちはストレッチをしてからベッドに潜り込み、「おやすみ」を言い合う。

 尊さんにくっついて脚を絡ませて寝ようとしつつ、私は親友の事を思いだしていた。

(恵、最近あまり話せてないけど、涼さんとうまくいってるかな……)

 便りが無いのは元気な証拠と言うけれど、そういう事にしておこう。

 なんにせよ、会社で今まで通りしょっちゅう会えていなくても、週末はある程度の報告会を行っているので、問題があったらその時教えてくれるだろう。

(応援してるよ、恵)

 私は心の中でつぶやき、スゥゥー……、と尊さんの匂いを嗅いだ。



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