部長と私の秘め事

誕生日二日目

 一通りふざけたあと、私は両脚を上げて反動をつけると、「よっ」と起き上がった。

 そのあと洗顔、歯磨きをしたあと、顔と腕に日焼け止めを塗ったくり、さらに体にはUVボディパウダーを叩き込んでから、メイクをした。

 服は黒いノースリーブのマキシ丈ワンピースをスポッと着て、厚底の白いスニーカーを履く。

 昨日、尊さんに立派なジュエリーをもらったけれど、カジュアルな装いにはそれに応じたアクセサリーが合うので、大きめのフープピアスと、手首に太めのバングルをつけた。

 尊さんいわく、今日の昼間は割とカジュアルでもOKとの事なので、一応信じておく事にする。

 尊さんも結構カジュアルで、白Tの上にグレーの半袖シャツ、黒いテーパードパンツに白黒のスニーカーを履いている。

「準備できたか?」

「はいっ」

 返事をした私は、元気に返事をして貴重品を小さなバッグに入れ、ルンルンしてラウンジに向かった。





 窓際の席に着いていると、三分後くらいに恵と涼さんが来た。

 恵はクシュッとしたフェミニンな白いギャザーブラウスを着て、上半身は甘めにしつつ、ボトムは黒いカーゴパンツ、靴は存在感のある白いスニーカーだ。

「おはよー、恵。かわいー。白いスニーカーおそろー」

 私は座ったまま、足を伸ばして靴を見せる。

「あ、ホントだ。……っていうか、このボリュームあるトップス、大丈夫? 変じゃない? なんか貴族が着てそうで不安なんだけど」

 恵はヒソヒソと聞いてくる。

「え? なんも? 恵は小顔だし、そういうの凄く似合う。涼さんナイス・スタイリング!」

 私がビッとサムズアップすると、グレーのTシャツに黒い半袖シャツ、黒いワイドパンツに白いスニーカーを履いた涼さんも同じようにした。

「いえーい」

 朝食はおしぼりやお水がテーブルに置かれたあと、メロン、葡萄、パイナップル三種盛りのフルーツ、コーンスープ、カラフルなサラダから始まった。

 パンはアフタヌーンティーみたいに二段になっていて、下段に焼きたてのクロワッサンと、小さな山食パンがあり、上段にはガラスの器に入ったバター、ブルーベリージャムがある。

 メインになる物は、オムレツ、パンケーキ、フレンチトーストの中から選べるようで、私は迷わず好物のフレンチトーストにし、残る三人はオムレツになった……。なぜ。

「美味しいね」

 ラウンジからの眺めは良く、すぐ近くに雲が見える。晴天の時は富士山も見えるとか。

 本当はこの洋食は昨晩のレストランでの提供らしいけど、特別にラウンジまで運んでくれた。

 ……多分、涼さんがスペシャルなお客さんだからかもしれない。

「今日の予定は?」

 食後、尊さんに尋ねると、代わりに涼さんが答えた。

「先に百貨店行っていい? 恵ちゃんとペアリング買うって決めたんだ」

「わあ! おめでとうございます!」

 私が猛烈な勢いで拍手をすると、恵が「結婚するんじゃないんだから……」とボソッと呟き、涼さんにジィ……と見つめられている。

 ……あ、冷や汗掻いてそっぽ向いた。

「尊も朱里ちゃんとペアリング買ったら?」

 涼さんに言われ、彼は私を見てくる。

 そして無言でトントンと指の背を打ち、首を傾げてきた。

「……ほ、ほしいかも……。め、目立たないのね! 恵とお揃いだと涼さんに悪いから、同じブランドの別のデザインのやつがいいな」

「それいい!」

 私が提案すると、恵がパッと顔を上げて同意する。

「うん、じゃあ決まり。……恵ちゃんが相変わらず朱里ちゃんファーストなのは分かったけど、そのうち涼ファーストにさせてみせるからね……」

「あー、はい」

 涼さんは燃えているけれど、恵はサラッと受け流して食後のコーヒーの残りを飲み干した。



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