線香花火【短編】
復活

まるで氷が溶けて草花が咲いていく様に、私の固まってしまっていた心は徐々に柔らかくなっていく。

これで、先に進めるよ。

又、純に頼ってしまってるね。


「純、ありがとう。純のおかげだよ」


「美弥、一緒に元気になろう。美弥と昔みたいに笑いあいたいよ」


私は首を横に振る。


「純の気持ちは嬉しいよ。でもこれ以上純に迷惑かけられない」


「迷惑なんかじゃ……」


私は純の言葉を遮る。


「純は私に色んな物をくれたの。今度は私がお返しする番だよ。」


「美弥…無理するなよ」


「もう大丈夫。心配いらないよ」


純は私から目を逸らして話し始めた。


「美弥は昔からそうなんだよな。いつも危なっかしくてさ……でも、そんな美弥を俺はほっとけないんだよ。こんな美弥を、もう見たくない」


純は私を見つめ、痩せこけた頬に手を当てる。


「俺はいつだって美弥を見てきた。もう自分の気持ちに嘘つけない。俺、美弥の事が……」


私は、慌てて純の口を手で塞いだ。

< 32 / 58 >

この作品をシェア

pagetop