ビタースイート・ドロップ~次期社長の甘い嘘~
帰宅時の、火に油を注ぐことにしかならない過度な接触も変わらない。
もっとも、うちの課には私以外に女性スタッフがいない分、直に粘着的な視線を向けられる機会はない。とはいっても、居心地の悪さに変わりはなかった。
変化といえば、別れ際だ。
以前は見向きもせずに『じゃ』と離れていたのに、今では『気をつけて』とか『また明日』とか、私を気遣うひと言が加わるようになった。
社長室に呼び出された日、私が嫌がらせを受けていると彼が知った日からだ。
「……なに考えてんだろ、あの人」
声に出せば今よりもましになるかと思った困惑は、自分の声があまりにも弱々しかったために、完全に逆効果に終わった。
別れ際にかけられる声は、日に日に優しさを増して聞こえる。
逆に、単に私がそう思いたいだけという気もしてしまう。私、本当にそう思いたいのかな……堂々巡りになった思考はぐちゃぐちゃに撹拌されて、もうなにがなんだかさっぱりだ。
もっとも、うちの課には私以外に女性スタッフがいない分、直に粘着的な視線を向けられる機会はない。とはいっても、居心地の悪さに変わりはなかった。
変化といえば、別れ際だ。
以前は見向きもせずに『じゃ』と離れていたのに、今では『気をつけて』とか『また明日』とか、私を気遣うひと言が加わるようになった。
社長室に呼び出された日、私が嫌がらせを受けていると彼が知った日からだ。
「……なに考えてんだろ、あの人」
声に出せば今よりもましになるかと思った困惑は、自分の声があまりにも弱々しかったために、完全に逆効果に終わった。
別れ際にかけられる声は、日に日に優しさを増して聞こえる。
逆に、単に私がそう思いたいだけという気もしてしまう。私、本当にそう思いたいのかな……堂々巡りになった思考はぐちゃぐちゃに撹拌されて、もうなにがなんだかさっぱりだ。