大好きだった元彼と再会しましたが、私はもう結婚しています。
***

「……おいしい!」

 思わず叫んだ。
 二人で入ったのは、駅から二筋脇に入った小さな焼き鳥屋。

 知らなかったけど、とんでもなくおいしい。塩加減が絶妙だ。

「こうやって誰かと食べるの、久しぶりです」
「そうか?」

 穂高の目が優しく細くなる。
 つい昔のデートを思い出して、どうしてか視線を逸らしてしまった。

 それを見た穂高は困ったように眉を下げる。

「……桐沢。これから、誘われても無理に合わせなくていいからな。来たいと思ったときだけ来ればいいから。上司だからって断る時に遠慮するなよ」
「……はい。ありがとうございます」
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