辺境に嫁いだ皇女は、海で真の愛を知る
平民だけではない。
貴族にも監視をつけ、
些細な反抗でも処罰した。
役人たちは怯え、
帝都の街角は重苦しい沈黙に包まれる。
冷静に考えれば逆効果でしかないのだか、
追い詰められている彼にはそれが分からない。

「皇女様がいた頃の帝都はこんなんじゃなかった……」
誰もがそう囁きながら、
秘密警察の影に怯え、
目を合わせることさえ怖れた。

こうして、
クレオールは自らの手で
国民の信頼を完全に失っていった。

さらに悪いことに、
彼が暴走するほど
ビンセントの“冷静な対話と誠実な態度”が
人々の心に刺さっていく。

「皇帝にはビンセント殿下の方がふさわしい」
そんな声がついに貴族たちの間でも漏れ始めた。
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