俺様御曹司はパイロットになって愛しい彼女を迎えに来る
何も言えずにキッチンに逃げてきたのだ。そして隼人のプロポーズにも否とは言えなかった。

心の中に重い石を抱えながら隼人のプロポーズにイエスと頷いたのだ。

高校生の時からずっと隼人が好きだった。

隼人がカナダに行ってしまって会えなくなって自然消滅のように付き合いが無くなってしまったけれど、空は自分たちがきっぱりと別れたとは思えないでいた。

そんな気持ちを紛らすために、他の男性に目を向けて隼人以上に愛せる人を見つけようと思ったが、それは徒労に終わった。

二~三人に告られて自分で人間的に良い人だと思った男性と付き合ってみたが、相手がキスを求めてくるような雰囲気になるとわざとふざけて見たり、どうしても紛らわせなかった時には相手の顔が近づいてくると最後の最後で顔を横に向けてしまう。

そんな自分に愛想が尽きて無理に他に気持ちを向けることは諦めた。

きっと自然に時間が助けてくれるだろうと思う事にしたのだ。

幸いグランドスタッフの仕事は空にとっては天職のように思えた。

NOAに入社してからは男性との付き合いをあまり考えた事もなかった。

だから、隼人がNOAに入社して以来常に隼人に流されている気もしないではないが、空を想ってくれる隼人の気持ちは嬉しかった。

そして今日はプロポーズまでしてもらえた。

イエスと返事はしたものの、会社を第一に考えるおばあ様の気持ちも無視はできない。

だから空は隼人がゴードンホテル&リゾーツの御曹司としての立場を選ぶなら、その意思を尊重しようと心に誓った。

何時でも、この指輪を外して隼人に返す心つもりだけはして置かなければならないと思っている。
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