夢幻に消えた君と、存在しない約束の続きを。
ようやく視界が安定してきた。
見慣れた、けれど一週間前よりもずっと冷たく感じる白い天井。鼻を突く消毒液の匂い。
「⋯⋯あ、あ⋯⋯」
声を出そうとしたけれど、喉が焼けつくように痛んで、掠れた音しか出ない。
視線をゆっくりと横に動かす。
そこに、彼女はいた。
ベッドの脇、いつものパイプ椅子に腰掛けて、祈るように僕の手を握っている少女。
「⋯⋯ぁ⋯⋯お⋯⋯」
名前を呼ぼうとして、僕は息を呑んだ。
そこにいる蒼は、僕が知っている彼女とは似て非なるものだった。
彼女の体は、驚くほど薄くなっていた。
肩のあたりからは背後の点滴スタンドがぼんやりと透けて見え、握られているはずの僕の手と彼女の手の境界線が、霧のように混ざり合っている。
彼女を形作るすべての輪郭が、絶え間なく細かく震え、今にも空気の中に溶け出してしまいそうだった。