夢幻に消えた君と、存在しない約束の続きを。
僕は彼女を忘れなければいけなかった。
なぜなら、心を壊してしまったから。
そして彼女もまた、事故で僕のことを忘れてしまった。
僕たちはお互いを守るために、お互いの世界から消去されたんだ。
病室に現れた蒼は、僕が忘れてしまった記憶の欠片だった。
僕が彼女を愛し、彼女を見続けたのは、脳がバグを起こしたからじゃない。
心が、彼女という一番大切な存在を取り戻そうと必死に叫んでいたからだ。
彼女は今、この病院から遠く離れた街で、僕を忘れたまま新しい生活を送っているはずだ。
たとえ君が僕を覚えていなくても、僕の瞳に君が映らなくなっても、君がこの空の下のどこかで息をしているという事実だけで、僕は何度でも立ち上がれる。
季節は、もうすぐ春を迎える。