私は死亡者
遼。
私の恋人の名前が、胸を小さく刺した。

「でも……どこにも、私の死亡届は提出されてない。
私の“死”って、何だったの?」

「わからない……。
でもあの夜、私たちが見たあなたは、確かに“死んでいた”の。
脈もなかったし……身体だって冷たかった」

沙耶の言葉に、私の背筋が強張った。

今の私と似ている。

「それに……」
沙耶が小さく息を呑む。
「美鈴の死体、消えちゃったんだよ」
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