私は死亡者
「……来た……!」

沙耶が叫ぶ。

私は影を見据えながら、思わず後退った。
影は低い声で囁いた。

「美鈴……“死亡者”は、生者の世界に留まってはいけない」

その声は、聞き覚えがあった。

遼の——声だった。
< 29 / 95 >

この作品をシェア

pagetop