私が好きになったのはどっちなの?
 だとしてももう遅い。ドイツに着いたら彼女に電話してみるか。
 メッセージで語る内容ではないだろうし、俺から樹に振られたの?なんて聞けない。
 ハーッと溜め息をつきながらじっとスマホの画面を見る。
「なんか恋人からの連絡待ってるみたいな切なそうな表情してるけど、お前そんなブラコンだったっけ……って、ブラコンだったな。ドイツにいた時もちょくちょく樹に電話してたし」
 ルカがちょっと冷やかすように言ってきたが、勘違いしてくれてホッとする。
「あいつがだらしないからだよ」
 花梨ちゃんが気になると言ったら、またしつこく『ドイツに呼べよ』とか俺に絡んで来そうだ。
 飛行機が滑走路に向かうため動き出すが、その時窓を見ていた乗客が騒ぎ出し、すぐにドンという大きな音がして、機体が揺れて身体も強くシートに打ちつけられた。
「キャア〜」という悲鳴があちこちからするし、俺も「痛っ……」と思わず声を出した。
「なにが起こった?」
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