言い出せないまま(She Don't Know Me)
Ⅱ
「ねぇ、中野くんが美代子のこと呼んでるよー!」
ある日の休み時間に、クラスメイトの女子が大声で言い、口から心臓が飛び出すかと思った。
「そ、そう⋯⋯?ありがと」
心臓がバクバク暴れるのを必死で隠し、私はなるべくゆっくりと廊下へと向かった。
しかし、中野くんは居ないではないか。
「秋吉さん、どこ見てるの?」
人のよさそうな、見知らぬ男子が、笑いながら言う。
「え?中野くんが呼んでるって聞いたんだけど⋯⋯」
「そうだよ。秋吉さんのことを呼んで、って頼んだから」
私には、この彼の言わんとしていることがわからなかった。
「手紙、本当にありがとう。実は俺も、前から秋吉さんのことが好きだったけど、共通点が何もないじゃん?だから、ずっと言い出せなかったけど、まさか秋吉さんから手紙もらえるなんて、夢みたいだよ!」
私は、中野くんにラブレターを書き、下駄箱に入れておいたのだが⋯⋯。
ある日の休み時間に、クラスメイトの女子が大声で言い、口から心臓が飛び出すかと思った。
「そ、そう⋯⋯?ありがと」
心臓がバクバク暴れるのを必死で隠し、私はなるべくゆっくりと廊下へと向かった。
しかし、中野くんは居ないではないか。
「秋吉さん、どこ見てるの?」
人のよさそうな、見知らぬ男子が、笑いながら言う。
「え?中野くんが呼んでるって聞いたんだけど⋯⋯」
「そうだよ。秋吉さんのことを呼んで、って頼んだから」
私には、この彼の言わんとしていることがわからなかった。
「手紙、本当にありがとう。実は俺も、前から秋吉さんのことが好きだったけど、共通点が何もないじゃん?だから、ずっと言い出せなかったけど、まさか秋吉さんから手紙もらえるなんて、夢みたいだよ!」
私は、中野くんにラブレターを書き、下駄箱に入れておいたのだが⋯⋯。


