『ドレスに宿る誓い』―Elara & Lanois 王国を変えた仕立て屋たち―

ある夜。
校舎のカーテン越しに夕陽が差し込み、
アトリエに橙が落ちるころ。

ふとエルヴィンが手を止めた。

「エラ……卒業したら、君はどうするつもりなんだ？」

突然の質問に、
エラははさみを置いて肩をすくめる。

「正直言うと、まだぼんやりよ。
でも“女性を自由にする服”を作りたい気持ちだけは、はっきりしてる。」

エルヴィンは深く息を吸い、
胸の内にしまってきた思いを言葉にした。

「……エラ。
俺は、君となら……二人なら、絶対に新しい服を生み出せると思ってる。
だから――
一緒にブランドを立ち上げないか？
……君とやってみたいんだ。」

エラは一瞬、ぽかんと目を瞬かせた。
だが、すぐに目を細め、唇を引き上げた。

「……言ってくれるのを、待ってたのかもね。
1人じゃ不安。でも、あなたとなら……きっと世界を変えられる。」

二人は力強く握手を交わす。
後の“Elara & Lanois” 、
誕生の瞬間だった。