『ドレスに宿る誓い』―Elara & Lanois 王国を変えた仕立て屋たち―

Elara&Lanoisの工房は
連日朝から晩まで稼働し、
熟練の職人を増やした。
そしてついに王都の中心に
フラッグシップストアをオープン。

オープニングの日──
入り口には長蛇の列ができ、
アリス王妃が完全プライベートで
サプライズ登場すると、
人々は歓声を上げた。

「注文が……また増えてる！？」
エルヴィンは毎朝、
届く依頼の手紙の山に目を丸くする。

アリス王妃が公務でスーツを着用するたびに、
翌日には
“王妃様が着たスーツを” と、
キャリア女性たちがこぞって注文するのだ。

エルヴィンとエラは
猫の手を借りたいほど大忙しだった。
それでも二人は決して
歩みを止めることはなかった。

国外の新聞でも取り上げられ、
“王妃のお気に入りブランド” として
ますます注目を浴び続ける。

「エルヴィン、もっと人を増やさないと回らないわ」
エラが図面を広げたままため息をつく。

「だな……。ここが踏ん張りどころだ」
その表情は疲れていながらも誇らしげだった。